Grand-mother Island Project

The “grand-mother island” project traces the trajectories of people who have crossed the Pacific Ocean, such as between Australia, Japan and Korea, focusing on how individual narratives are interwoven with history to create new communities.

-grandmother-それはより親密に過去を想像することをうながす

仮想の島−grandmother island−は、海路をつうじてつながる個人の歴史/物語を、それぞれの人が、それぞれの記憶にもとづいて想像するための仮想の島である。

第1章

海図

Nautical Map

第4章

海鳥たちの庭

Seabird Habitats

「国民はイメージとして心の中に創造されたものである」と述べたのは、ナショナリズム研究の第一人者であるベネディクト・アンダーソンである。「ナショナルな歴史」を共有することで国民としての連帯感が高まるとするならば、その枠組みで語ることの困難な歴史を共有することは、その枠組みをこえた新たなコミュニティを形成することにつながるのではないだろうか。そのときに有効なのは、個人の歴史/物語に注目することである。個々人の真実の物語*によって構成される歴史を共有することは、未来を共有することでもある。常に、現在は過去と一体であり、過去をどのように想像するかが未来をつくるであろう。観念的に区切られたナショナルな歴史として過去を想像するのではなく、より有機的な広がりをもったコミュニティの歴史として過去を想像すること。そして、そのときにたよりになるのが、grandmother である。grandmotherをとおして想像する過去はより親密に過去を想像することをうながす。

このプロジェクトではgrandmother の世代からつらなる、個人の歴史を親密に想像し、つむぐための場-grandmother island という仮想の島-を設定し、それぞれの人がそれぞれの記憶にもとづいて、親密に過去を想像する場をつくることを試みている。

 

[*]  「私たちが特定の過去のまわりに引きめぐらす線−国の、地域の、あるいは文明の歴史という空間的な線や、“中世”、“近世”といった時間的な線−が観念的な構造物であって、線を引きなおすと過去はまったく違う様相をみせるということ、そして、おなじ出来事が、それぞれの独自の内的な“真実の体系”をもつたくさんの異なる叙述をうむということである。」

―テッサ・モーリス・スズキ『過去は死なない』より− 

 

 

Grand-mother Island Project”, which traces the trajectories of people who have crossed the Pacific Ocean, such as between Japan, Korea, Nauru, Torres Strait, and Australia, focusing on the individual narratives that are interwoven with global histories to create new communities. Grandmother Island constitutes an imaginary space that inherits and generates untold stories beyond the idea of nation. According to Political Scientist Benedict Anderson, the nation is an “imagined political community, where belief in a shared history strengthens the sense of national belonging”. This project imagines space between nations; spaces of movement that expand our horizons. Using the metaphor and universal experience of the grandmother, it brings to life stories of connected pasts that open us to others.